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猫の去勢と避妊



 ◆◆◆  猫の性成熟  ◆◆◆

猫が性的に成熟するには、生まれてから平均で5ヵ月〜10ヵ月を必要とする。
体の発育にともない、メスでは卵巣で卵子が成熟し、オスでは精巣で精子が作られるようになり、性行動が可能な時期となる。しかし飼育管理、気候風土など外部の環境により、性成熟に達する期間はかなり影響される。
このように性成熟をした猫が、子孫を残すという本能により性行動をするわけであり、メス猫・オス猫の生殖細胞から新しい個体が作られ、猫という種の保存が持続される。

 ◆◆◆  去勢手術  ◆◆◆

手術は比較的簡単にできるもので、手術による危険や弊害も少なく、全身麻酔をかけて行うので、猫に苦痛を与えることもない。睾丸摘出術【orchiectomy、orchidectomy】は、陰嚢を切開して睾丸と副睾丸を全部摘出する。
手術を受けさせる時期は、一般には体格が成猫に近づいたら行うのがよいとされる(少なくとも、6ヵ月以上がよいとする獣医が多数派である)。
あまり若齢期に行うと、性ホルモンによる成長ホルモンの抑制がなくなるために、大型の猫に成長する傾向があるといわれているが、その説の根拠となる文献は見当たらない。

【手術方法と利点】
去勢手術後の利点は、右のの3点が挙げられる。
通常は麻酔から覚めれば帰宅でき、入院の必要はないが、ケースバイケースで獣医師の指示を受ける。

去勢手術の利点

(1) 発情期に放浪することがなくなるので、外傷を受けたり伝染病に感染する機会が少なくなる
(2) オス猫特有の放尿癖が消失する(100%ではない)
(3) 手術前よりも性格が温和になり、いつまでも仔猫らしい行動がみられることが多い
(4) 脱走して迷子になる危険が少なくなる
(5) メス猫を妊娠させない



 ◆◆◆  避妊手術  ◆◆◆

手術の適用の時期は、最初の発情期を迎えた後がよいという理論を支持する人が多いようです。
なぜそれ以前ではいけないのかという疑問があると思いますが、これは猫が発育・成長するまでにいろいろのホルモンの分泌があり、各器官の働きは互いに関連しており、卵巣においても成熟する以前に摘出してしまった場合には、他の器官の成長に大きな影響を与えるため、手術の適用は成熟した時期がよい、というものです。
ですが猫には成長が早い・遅いなどの個体差がありますので、獣医師に相談のうえ、手術を受けることが望ましいと思われます。


卵巣子宮摘出術の利点

(1) 避妊ができる
(2) 子宮や卵巣の病気が殆どなくなる
(3) 乳房の病気が減少する
(4) 手術前よりも性格が温和になり、いつまでも仔猫らしい行動がみられることが多い

【手術方法と利点】
手術により、卵巣摘出術【oophorectomy/卵巣割去】、または卵巣と子宮の全摘出手術【ovariohysterectomy/卵巣子宮摘出術】が行われています。
卵巣摘出術の場合は、避妊の目的は達せられますが、子宮の病気や発情がおきる可能性があります。また、性ホルモンに起因する問題行動は、性ホルモンに係る臓器を全て摘出しないと治まらない場合が多いので、注意が必要です。
全身麻酔下で行われるので、猫に苦痛を与えることはありません。
発情中や妊娠中の避妊手術はふだんの時期と違って、いくらか手術に手間取ることもありますが、望まれない妊娠を中断させるためには、思いきって手術を受けるようにすべきだと思います。


 ◆◆◆  避妊薬インプラント  ◆◆◆

平成9年夏、埋め込み式の避妊薬が発売されました。従来の子宮や卵巣を摘出する避妊の方法とは大きく異なり、薬を摘出すれば、再び妊娠可能な状態に戻るというものです。

【手術方法と効果】
猫の首から背中にかけての皮膚を1ヵ所切り取り、直径3.3cm、長さ約2cmの円柱状の薬剤を注射器のような筒を用いて埋め込み、後は縫い合わせるだけという簡単な手術で済む。この薬剤は、発情を抑える効果のある合成黄体ホルモンを含んだシリコン状のもので、メス猫の首の皮膚に移植することで妊娠できない状態にできるというもの。黄体ホルモンは、通常、妊娠状態のときに体内につくられるもの。つまり、妊娠しているかのよう体に錯覚させることで避妊効果が得られるのです。
1年は有効とされていますので、避妊状態を持続させたければ年1回の手術が必要です。

【用いるときの注意点】
子宮や乳腺に疾患のある猫には向きません。また、最も問題なのが、猫は妊娠初期にその兆候を読み取ることが難しいために、実際に妊娠しているにもかかわらずこの薬剤を埋め込んでしまう危険があること。術後1ヵ月目に、必ず動物病院で診てもらってください。
猫の妊娠期間である63日を過ぎて放置すると、胎児が亡くなってしまうなどして、母猫までが危険な状態になってしまいます。妊娠が判明した時点で、薬剤を摘出すれば普通に分娩されますが、妊娠の可能性が少しでもあるときは、この方法は避けた方が無難でしょう。


 ◆◆◆  不妊手術 Q & A  ◆◆◆


野良猫の不妊手術がされているかどうかは、どうしたら見分けられるの?




オス猫の場合、例外はありますが、外見から睾丸の有無が分かることが多いです(コロコロしていない感じですね)。
 メス猫の場合、術部の毛が生えそろってしまうと、判別に苦しむことになります。分からない場合は、妊娠して初めて結論を出すか、家の中に閉じ込めておいて発情期が来るかどうかを観察する方法がありますが、あまり現実的とはいえません。
 野良猫を手術しているボランティアさんの中には、手術済みの目印として「耳ピアス」「入れ墨」「耳カット」などを施している場合もあるので、よく観察してみましょう。
 また、動物病院に連れて行っても、お腹を開かなくては確実なことは分からないことが多いのですが、例外として、一部の獣医師は野良猫に限定して、溶けない手術糸を使用していることがあります。その場合は、腹部を触ると糸に触れて、手術済みであることが判別出来ます。しかし「触れない」野良猫さんの場合は、最終的に麻酔が必要になります。

ピアス猫
←ピアス猫




生後6ヵ月未満の未成熟な猫を、不妊手術(去勢・避妊)すると、どんな弊害があるの?


ごく稀に、内分泌性脱毛症、クッシング症候群(皮膚炎、 副腎皮質機能亢進症)などをおこす場合があります。

 しかし、近年では「幼齢中性化手術」(早期の避妊去勢手術)を行う動物病院も徐々に増えていて、アメリカなどでは6〜24週齢で行う場合を幼齢中性化手術と言っているようです。
 263頭の中性化手術の猫を2群に分け、3年後に追跡調査した文献では、問題行動・身体的特徴・譲渡先での譲渡率(飼育放棄率)など、2群ともに差は見られなかった、との報告があります。





不妊手術をするメリットは?


メス猫では、発情期の鳴き声の防止、むやみに仔猫を生まないなどがある。また体力を消耗する妊娠・出産・育児をしなくて済むので、長生きにつながります。
 オス猫では、むやみに仔猫を作らせない、スプレー行為が減ります。また、メス猫を求めて放浪することがなくなるので、ケンカが減り、怪我や伝染病の感染の危険も減ります。ある詳細な研究によると、去勢されたオスは去勢されていないものより平均3年の長寿を期待できるという報告もあそうです。
 防止できる猫の病気は、スタッドテイル症(別名:釦状尾症・尾根部皮脂腺性皮膚炎)などがあります。
 防止できるメス猫の病気は、子宮や卵巣の病気で、子宮蓄膿症(閉鎖性子宮蓄膿症、開放性子宮蓄膿症)、子宮炎、乳癌などです。





不妊手術のデメリットは?


オス猫、メス猫ともにホルモンのバランスが崩れます。皮膚はホルモンのバランスの影響を受けやすいため、皮膚病になることもありますが、これはホルモン治療で治ります。
 メス猫は女性ホルモンがなくなるので、食欲が増進され、食事の量が増えることもあります。
 オス猫は、行動範囲が狭まり、運動量が少なくなり、また、男性ホルモンがなくなるため、エネルギー効率がよくなり、同じ量の食事でも摂取カロリーが増え、肥満になりやすくなるようです。





手術時間って、どのくらい?


実際の手術時間だけだと、メス猫で約10分くらい、オス猫で約5分くらいです。
 ですが、その前に麻酔をかけたり、爪を切ったり(動物病院によります)、尿を絞り出したり、手術台に固定、手術部位の剃毛(ていもう)など、準備時間も必要になってきますので、その時間も加算されることになります。





不妊手術を見学出来ますか?


担当獣医さん次第だと思います。見てみたいなら、ダメ元でお願いしてみるのがいいでしょう。
 手術室に入れなくても、窓越しに見学させてくれる病院もあります。
 「見学もできないほど酷いことをさせてる」と思いたくない一心で、月ちゃんも、手術室に入って見学してます。目の前で見ているので、心配もなくなりました。





麻酔をするのが心配です…


猫の年齢が若い場合はあまり心配することはありませんが、高齢の猫の場合は、事前に血液検査やレントゲン検査を受けておくと安心です。検査では、麻酔を代謝できる能力があるかどうかや、心臓肥大などの臓器の異常を確認出来るからです。
 若い猫ちゃんの場合でも、心配ならば事前に検査をすると安心できるでしょう。





入院は必要ですか?


一般的に、オス猫は1泊程度、メス猫は1〜2泊程度の入院をさせている病院が多いようです。
 しかし、安めの料金で手術を行っている病院の場合、入院費を削った料金設定のため、当日の退院になるのが通例のようです。
 当日退院の場合、麻酔が完全に覚めないまま返されることがままあり、ふらつく猫を見て動転する飼い主さんが多いため、大抵は当日退院をさせないようです。
 ですが、神経質な猫のストレスのことや、怒りっぽい猫の場合は、怒ることで起こる腹圧のため、傷口が開いてしまう心配などから、入院させないケースもあるようです。






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