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 地域猫資料室/新聞記事全文

 どうする野良猫対策 地域力で解決を
無責任な飼い主減らず 避妊・去勢にも費用の壁

[ 2006/6/24 熊本日日新聞 ]


 人間とのつきあいが長く、癒しも与えてくれる猫。しかし、野良猫となるとふん害やごみあさりなど、迷惑をまき散らし、住民は効果的な手が打てない場合が多い。最近、数十匹の野良猫に悩む地区が熊本市内にあったと聞き、周辺事情を探ってみた。

(内田 裕之)

 熊本市薬園町。一軒の古びた民家に今春、約四十匹の猫がすみ着いた。飼い主の女性は猫たちを置き去りにして退去。連絡もつかず、近隣住民らは残された猫の対応に頭を抱えた。

 「朝一番にやるのが、庭や玄関先にされたふんのそうじ」と、隣家の入江昭雄さん(63)はうんざりした様子。生ごみの袋が破かれたり、小さな子どもがふんに汚れた土を口に入れたりなど、深刻な被害も出ていた。

 「無責任な飼い主が多いから、こんな問題は後を絶たない」。同市動物愛護センター技術主幹兼指導係長の久木田憲司さん(52)はこう話す。

 同センターには「野良猫を捕獲しに来てほしい」という電話が年間五百件以上寄せられる。しかし、狂犬病予防法を根拠に捕獲できる野良犬と違い、野良猫は法の枠外。持ち込まれた場合は引き取り手を探すが、多くは処分するしかない。その数、年間約七百匹。「猫の繁殖期は年に二、三回ある。飼い主は正しい知識と責任を持って、最低限、避妊・去勢をしてほしい」と久木田さん。

 猫の命を奪わずに済む対策の一つは引き取り手探しだ。薬園町の場合、地区内に住む荒木伊保里さん(55)が民家に残された野良猫三十一匹を捕まえ、うち子猫九匹が「熊本里親の会」(鬼塚省一代表)を通じて引き取られた。だが、同会で扱うのは去勢・避妊手術をした猫で、手術は一匹あたり避妊一万二千六百円、去勢六千三百円。「処分はかわいそう。でも、救うには工学の費用がかかるのが難題」と荒木さん。

 打開策として、熊本市動物愛護推進協議会と同センターは「地域猫」を推進している。捕獲して去勢・避妊をした猫にトイレのしつけをし、再び地域全体で面倒を見て自然減を待つという方法。同協議会に「地域猫」と認定されれば、一匹七千円の助成金も出る。

 同じように野良猫に悩む同市の碩台校区では昨年、同センターと同協議会がフォーラムを開き「地域猫」を紹介した。住民からは「処分やむなし」「いたちごっこだ」とさまざまな意見が出たが、数人の協力で六匹が「地域猫」に認定された。市内数カ所の地区からも、フォーラムを開きたいとの声があるという。

 現在は野良猫が数匹にまで減った薬園町。「迷惑が少なくなったとも聞かれる。問題は避妊・去勢のための資金。まずは募金を呼びかけています」と、自治会長の元生尚志さん(78)。

 一朝一夕の解決は難しい野良猫問題。碩台校区のフォーラムに参加したまちづくりコンサルタントの前田芳男さん(45)は、「野良猫は地域全体に及ぶ問題だから住民参加が鍵。地道にやっていくしかないんです」と、地域の力と持久戦を提案している。




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