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 地域猫資料室/新聞記事全文

ご存知ですか地域猫!?
「動物愛護」優先に市民がルール作り

[ 2000/1/25 聖教新聞 ]


 猫の鳴き声がうるさい、フンをされた−−など、住民から行政に寄せられる苦情は意外と多い。こうしたことが原因で猫嫌いになる一方で、「生きものを大切にする環境を」と反論する猫好きの人もいます。そこで、”野良猫を地域住民が共同で世話をしよう”という「地域猫」の取り組みが進められる横浜市磯子区を訪ねてみました。

●時間になると”集合”

 時間になると、どこからともなく数匹の猫が集まってきます。シマ、ブチ、白、黒……種類はさまざま。思い思いの場所で何かを待っている様子でしたが、そのうちの一匹が走りはじめます。その方向には飼育グループの姿がありました−−。
 地域猫は文字通り、街の野良猫を地域の住民が共同で世話をしようというもの。磯子区では、猫好きの住民と猫嫌いの住民とが議論を重ね、エサ場の掃除や不妊手術などをルールとして作りました。飼い主のいない野良猫を減らそうと、地域猫の取り組みが進められたのです。
 引っ越しなどの理由で、猫が飼えなくなり捨てられた猫が、野良猫となりエサを求めゴミ箱をあさる”迷惑猫”になってしまうケースが少なくありません。
 「猫を減らせばいい」と言う人がいるかもしれませんが、それでけでは問題は解決しません。野良猫も命ある存在。まして、好きで野良猫になったわけではありません。
 ただ、猫好きの引き取り手を探そうとしても、なかなか見つからないのが現状。それなら「数が増えないように管理して地域で飼うようにしては」。そんな発想から”地域猫”は生まれました。

●住民が共同で管理
 問題は無責任な飼い主

 磯子区では平成九年、猫嫌い、猫好きの人が一堂に集うシンポジウムを開きました。テーマは猫問題について。
 初めは議論が沸騰し、お互いの意見に耳を貸す雰囲気ではありませんでした。しかし、二回、三回と続ける中で問題点が浮き彫りに。「無責任な飼い主がいるから野良猫が増える」
 ただ、猫は元来、人への帰属意識が低く、管理しにくい動物です。また、三つの名前があるといわれるように、こちらの家ではタマ、裏の家ではミケ、向こうではブチというように、あちこちでエサをもらい、それぞれの家で飼い猫のように振る舞います。そのため、飼い主の責任がはっきりしなくなるケースが多いのも事実です。
 そこで、責任ある飼い方のルールとして、ガイドラインがつくられました。策定には猫嫌いの人も参加。「このぐらいしっかり飼ってもらえれば、文句はない」との声が寄せられています。

●野良猫なくし”みんな”で飼う
 ”猫嫌い”こそ参加を!の声

 「人と猫が共生できる街を目指して」と題されたガイドラインには、飼い主の心構えとして「法令を守る」「他人に迷惑をかけない」「愛情を持って終生飼養する」「捨てない、増やさない、いじめない」の四点が掲げられています。
 また、猫を飼っている人へ具体的なルールとして、飼い主所有の場所にエサやトイレを設置、首輪を付けて身元が分かるように、引っ越しの場合も飼い続ける努力を、などを促しています。
 また、地域猫として面倒を見る人に対しては、長く続けていけるようにグループでの活動を呼びかけるとともに、エサの与え方、フンの後片付けなどの注意点を挙げているのが特徴。
 ただ、問題も残されています。それは手術代をどうするか。不妊去勢手術には、少なくともオス一万円、メス一万七千円かかるといいます。現在、バザーや寄付で資金を集めているものの、すべての猫を手術できるわけではありません。
 同区の保健所の渡辺清孝課長は「猫嫌いの人にこそ参加してもらいたい」といいます。野良猫を減らしたい、との気持ちは猫嫌いも猫好きも同じです。動物愛護の精神からも、野良猫をじゃまもの扱いにするのではなく、どのようにしたら共生できるのかを考える必要があります。磯子区で始まった取り組みに注目が集まっています。




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