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 地域猫資料室/新聞記事全文

「地域猫」で共生の道を 早大で野良猫考えるシンポ
反対派に理解求める

[ 2000年 産經新聞 ]


 「野良猫」といえば、これまでは敬遠されてきた存在だったが、飼い主のいないこうした猫を「地域猫」ととらえ直すことで、地域や人間とのよりよい関係づくりを考えるシンポジウムが三日、早稲田大学小野講堂(新宿区西早稲田)で開かれた。シンポジウムを主催した「わせだ地域猫の会」幹事長の同大法学部四年、後藤一平さん(23)は「人と猫のもっといい関係をシンポジウムで考えていきたい」と話している。

 早大キャンパスには昨年夏ごろ、猫が二十匹ほど住みつき、”猫好き”の学生や地域住民らがえさを与えてかわいがってきた。しかし、猫を嫌う学生や住民も多く、ふんの始末などが「問題」としてクローズアップされていた。

 大の猫好きを自称する後藤さんは昨年十一月、学生仲間に呼びかけて「わせだ地域猫の会」を結成した。最初は五人だったメンバーが、現在では四十人ほどに増加。潜在的な猫好きの人が多いことが証明されたとともに、猫問題への関心の高さも証明することとなった。

 猫の会の結成は、「野外で生活する猫を『地域猫』として扱い、えさを与えたり、ふんの処理などを行って秩序あるものにしたい」と考えてのことだった。メンバーは毎日、当番を決めて、えさを与えるとともに、ふんの後始末も行う。

 無計画な繁殖を抑制するため、猫の会では募金で集めた資金をもとに、不妊去勢手術を行っている。これまでに十七匹の手術を行った。一匹あたりの費用は約二万円と決して安くない。後藤さんは「野良猫を地域全体で面倒をみることによって、猫の好きな人も嫌いな人も含めて共生と調和をはかりたい」と話す。

 えさを与えるのも、猫好きならではの配慮が必要だ。地域猫にも縄張りはあり、えさは猫ごとの縄張りに合わせてキャットフードをえさ箱に置いていく。衛生や秩序に配慮するのは、猫の会の大原則。
 シンポジウムでは、地域猫との関係のあり方をテーマに、実際に地域猫活動に取り組んでいる女性をパネリストに招き、野良猫の排除活動を続けている「反対派」の人や一般の愛猫家など立場や考え方の異なる人たちが参加して、白熱した論議が展開された。

 地域猫活動家として都内で二百匹の猫を世話している女性は「単に猫が好きでえさを与えているのは論外。路上で生まれた猫の健康や生活を長期的に考えるべき」と活動の意義を強調した。
 一方、「反対派」からは「野良猫にえさをやる人の気持ちが理解できない。周囲の環境衛生の面でも問題だ」との厳しい意見が出された。

 シンポジウムに続き、動物問題の専門家や都衛生局担当者による動物への行政の対応などについて講演が行われ、地域社会と動物との現状が紹介された。同会では「法規や正しい飼い方を知ることで、人も猫もいい関係を保っていくようにしたい。今後は猫問題の起きている地域の人たちにノウハウの提供も行っていきたい」と話している。




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