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 地域猫資料室/新聞記事全文

<ハローペット> 猫ギライ巻き込み「地域猫」育て
不妊去勢200匹苦情主も協力 渋谷区

[ 2005/3/8 東京新聞 ]


 東京都渋谷区の「地域猫」活動が活発だ。地域猫とは、飼い主のいない猫を地域で世話する活動のこと。1年前、区のサポートを受け発足したボランティア「渋谷区動物愛護推進ネットワーク」は、これまで200匹以上の飼い主のいない猫に不妊去勢手術をした。短期間にこれだけの手術を成功させた“渋谷式”地域猫活動の秘訣(ひけつ)とは?

 若者でにぎわう原宿の一角にあるたばこ店。ネットワーク代表・小松〓香さんは、ここで日中店番をしながら、てきぱきとメンバーからかかってくる電話に指示を出す。

 「そっちは何匹捕獲した? じゃあ夜、店を閉めてから引き取りに行く」「明日は代官山の捕獲、朝5時集合ね。病院に7時までに入れるから」

 猫の出産シーズンが迫り、不妊去勢手術は今、一番忙しい時期に入っている。都内に11万匹といわれる、飼い主のいない猫。繁華街の多い渋谷区にも1万匹以上いるとみられる。増やさないためにも、手術が必要だ。

 「渋谷の猫は今年、1月20日前後に発情期を迎えました。以来、メンバーは大忙し。神宮前2丁目や代々木上原駅周辺の猫は、ほぼ手術が終わったんですよ」

 だが、捕獲・手術は原則として、ネットワークが自主的に行うのではない。住民の「依頼」を受けて初めて、出向くのだ。

 というのもメンバーには、ネットワーク発足以前からの活動経験から生まれた哲学がある。すなわち、「何もかもボランティアにやってもらっていては、地域猫の意識は育たない。地域の人たちが手術しようと決めて、1000円でも出せば、意識がまったく変わるんですよ」。

 渋谷区は昨年8月から、ネットワークの手術に、メス7000円、オス5000円を助成している。協力病院で低額で手術するが、助成金だけでは足りないので、地域の人からも多少の負担金をもらっている。住民の依頼を受けたネットワークは、指定の猫を捕獲し、病院へ。翌日元の場所へもどす。これまでの依頼件数は約30カ所。

 しかし、猫嫌いの人が、そう簡単に地域猫にお金を出すのだろうか。

 「最初のころは1日に何本も苦情の電話が来て、神経症になりそうでしたよ。近隣で世話している猫が車を傷つけたとか、土地の境界線問題とか、猫問題は人間のトラブルがからんでいることが多いので、苦情主のところに出向いて話をとことん聞くことが大事。たいていの人は、猫を殺そうとまでは思っていない。だから、手術するのが最良ですよと、マーキングが少なくなるなど手術のメリットも伝えるんです」

 苦情主に近隣の合意を取り付けてもらい、手術費用を集め、捕獲にも立ち会ってもらう。「カゴに捕らえられた猫を見ると、なぜか同情心も生まれるようです」

 ネットワークは40−50代の女性が中心だが、警察がらみの紛争の中にも飛び込んでいくエネルギーに、サポート側の区保健所職員は称賛を惜しまない。つい先日も区長が「最近、猫の苦情を聞かなくなってきた。引き続きお願いします」とメンバーを激励した。

 都福祉保健局環境衛生課も2003年度から、動物愛護推進総合基本計画(ハルスプラン)をスタート。行政と都民、民間団体が連携して動物との共生社会を目指す。現在の犬猫の処分数約1万1千匹を、10年後には半分に減らす目標を掲げている。

 いま都内のあちこちでおこっている地域猫活動。その女性パワーに期待したい。(文・宮晶子)




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