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【ハローペット】 広がる地域猫活動 区境の"壁"越えた協力

[ 2005/5/25 東京新聞 ]


 飼い主のいない猫との共生を地域で目指す「地域猫活動」が東京都中心部の集合住宅にも広がっている。新宿区の都営団地では渋谷区のボランティアが、区境の壁を越えて協力した。また都は地域猫のモデル事業を20地区で実施した。

●都営住宅の試み

 狭い道路1本を隔てて、片や渋谷区の大規模マンション、片や新宿区の10棟からなる都営霞ケ丘団地。この2カ所を、二十数匹の猫たちが気ままに渡り歩き、すみかとしていた。

 3月初めに紙面で紹介したボランティアグループ「渋谷区動物愛護推進ネットワーク」が、この区境の“壁”に突き当たったのは、3月末。渋谷区側マンションの依頼で18匹の不妊去勢手術を行ったのだが、「隣の霞ケ丘団地から、猫が次々遊びにくるんです。これでは渋谷区側だけやってもしょうがない」。

 団地の町会に話をすると、団地住民も増える猫たちに困っていた。そこで新宿区保健所に相談。同区には猫の不妊去勢の助成制度があり、昨年度からはノラ猫の手術にもオス5000円、メス9000円の助成を始めていた。

 団地、区、ネットワークが話し合い、ネットワークが猫を捕獲、新宿区が助成し、同区協力病院で手術という、区を超えた協力活動を行うことになった。

 「猫は人間の縦割り行政に合わせてくれませんから。今後もこうした協力は大切になってくるはず」とネットワーク。

 地域猫活動は、不妊去勢だけでなく、その後のえさやり、後片付けなど世話と管理について、住民の合意形成が不可欠だ。この団地には住民のほか外部から通ってくる“隠れえさやり”の人がいた。ネットワークや団地町会が活動を説明すると、最初の警戒していた態度が一変、喜んでえさやりにルールを設けることに同意した。

 団地の町会長は、「長年の猫問題が解決し、ほっとしました。今後は捨て猫にも目を光らせます。ペット飼育のマナーも考えていくきっかけにしたい」と前向きだ。

 3年ほど前からの活動が順調なところもある。

 港区芝浦の420世帯からなる大規模マンションでは、区保健所や地域猫の経験豊富なボランティアの協力も得て、六十数匹を不妊去勢。現在、4、5人の住民でえさやりをしている。

 「ゴミ拾いもして、きれいな環境を保つ努力をしています。これもみんな猫のため」

 猫にはすべて名前もつけ、健康状態も把握している。猫たちの様子は実に穏やかだ。

●都もガイドブック

 こうした活動が増える中、都環境衛生課も「飼い主のいない猫との共生モデルプラン」を実施。3年間で20カ所をモデル地区に指定し、不妊去勢を約100匹支援した。このほど、モデル地区のケーススタディーを載せたガイドブックを作成した(都ホームページでも公開)。

 都も「地域合意を得るには、行政の後押しがあればやりやすいはず」とし、今後も新たな地域に不妊去勢の支援をしていく予定だ。あなたの地域はどうですか? (文・宮晶子)




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