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 地域猫資料室/新聞記事全文

街が飼い主 地域猫/住民、OLが世話

[1999/1/29 読売新聞・夕刊]


 ホームレス猫は地域で世話を−−。ごみをあさったり汚物をまき散らしたり、とかく評判の悪い野良猫を地域の住民らが共同で飼おうという「地域猫」と呼ばれる試みが、首都圏で広がっている。(社会部 小梶 勝男)

 東京・南青山のオフィスビルやホテルに囲まれた一角の中庭に、約十匹の地域猫が暮らす。えさは猫好きな住民やOLが与える。野良猫時代と違い、人間に慣れて甘えた声を出しながら近寄ってくる猫もいる。

 このあたりで野良猫が増えたのは昨年5月ごろ。一時は二十匹近くにもなった。病気や高い所からの墜落で死んでしまうことも多く、当時ビルでOLとして働いていた田矢麻弓さんが立ち上がった。

 一般に一匹当たり不妊で二万円前後、去勢一万数千円とされる手術費用を募り、地域を回った。猫好きには「ほかの住民の目を気にせずにえさをやれる」と言い、猫嫌いには「猫の寿命は五年程度。手術さえすれば一代で終わる」と説得。反対はほとんどなく、二十五万円の寄付が集まり手術を施した。

 地域猫は約十年前に横浜市磯子区の団地で始まった。住民らが十年がかりで約百三十匹に手術を受けさせ、近くの公園でえさをやって今でも飼っている。フンの掃除も交代制だ。

 それがここ二、三年でほかの地域にも急速に広がり始めた。東京都新宿区で二か所、世田谷区、横浜市の港南区と都筑区、埼玉県和光市など。自治会や集合住宅、オフィスビルなどの単位で世話をする。

 地域猫の相談を受けたり、飼い方や地域のネットワーク作りのノウハウを教えるインターネットのホームページ(アドレスは http://www02.so-net.ne.jp/~nekonet/)も登場した。新宿区の工藤久美子さん(43)が一昨年五月に開いた「ねこだすけ」。アクセス数は約四万件に上り、毎日五件ほど相談のメールが来る。

 一方、行政もこの動きに注目している。磯子区では一昨年四月から、野良猫の苦情には、地域猫の例を紹介している。一万匹の野良猫を抱えると言われる東京都でも、三月に出す動物保護管理審議会の最終答申に地域猫の考え方を盛り込む予定だ。

 だが、工藤さんが言う。「地域猫を飼っていることが分かると、そこに猫を捨てにくる人がいる。だから大っぴらに出来ない」。猫を捨てる人がいる限り、人にも猫にも幸せはない。




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