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 地域猫資料室/新聞記事全文

地域猫 愛護というより環境運動
去勢、避妊し、みんなで世話

[ 1999/9/28 中日新聞 ]


 雑居ビルや公団住宅が立ち並ぶ東京・南青山の一角。ビルの裏庭の生け垣から、四匹の猫たちが次々に顔を出した。みんなよく太って、落ち着いている。いずれも、避妊・去勢手術を受けた野良猫たちだ。傍らの看板は「地域猫活動」の紹介とともに「えさや空き缶などを放置しないで」と美化を呼び掛けていた。

 「去年の夏には、二十九匹いたんですよ。今年は五、六匹になりました。地元の人がえさを与えて、掃除をしています」と、運動の推進役の主婦、田矢麻弓さん=東京都世田谷区=は、猫たちをあやしながら話した。

 昨年七月の雨の日、近くの会社に勤めていた田矢さんが、猫の悲しそうな鳴き声を聞いて、ビルの裏庭に回ると、生まれたばかりの子猫たちが、ひん死の状態でうずくまっていた。カラスに目をつつかれた子猫もいた。

 見過ごしにできず、一匹を家に連れて帰り、ミルクを与え、飼い主を探して、引き取ってもらった。同じように六匹の子猫を救ったが、野良猫たちは、子どもを次々に産み続ける。

 限界を感じた田矢さんは、都内の市民団体・ねこだすけに相談、「地域猫」の活動を知った。野良猫を捕獲して避妊・去勢の手術を受けさせた後、その地域で世話をして、不自然な形で死ぬ野良猫を減らす運動だ。子猫の飼い主探しや、猫の飼い方の啓発活動にも力を入れている。

 理念に共感した田矢さんは、ポスターを張り、チラシを配り、仲間を募った。地元の主婦や大学生、会社員の女性らが次々に活動に加わった。警戒心の強い野良猫を慣らし、捕獲するのは大変な作業で、ボス猫を捕まえるのに一ヶ月かかったという。これまでに十匹を去勢・避妊し、十三匹の飼い主を見つけた。手術費用は街頭募金で集めた。

 「動物愛護ではなく、環境運動」と田矢さんはいう。捨て猫をしたり、無責任に野良猫にえさを与えたりする人に、自分たちの町の問題を見つめ直してもらうことが目的なのだ。多くの人に活動を知ってもらうためにホームページ(http://www.alles.or.jp/~abiy/)で公開、都内や横浜市での地域猫活動にも協力している。

 野良猫を助ける活動は、全国に広がる。インターネット上では、猫の写真がふんだんに掲載された飼い主募集やペット自慢のホームページが増え、猫を愛する人たちがハンドルネーム(ネット上の愛称)で、喜びや悲しみをつづっている。

 名古屋市守山区の歯科技工士の女性(二八)も三ヶ月前に、「クリス」のハンドルネームでホームページを開設し、紹介している。

 四匹の中には、アルバイト先のペットショップで売れ残った子猫、道端に捨てられていた子猫も。いずれも室内飼いで、去勢・避妊手術を受けている。

 「放し飼いにして、よその猫を妊娠させても責任を取らない人には、猫を飼って欲しくない。一代限り、大切に愛情を注げば、猫たちもそれにこたえてくれます。名古屋でも地域猫の活動が広がるように協力したい」と"クリス"さんは話す。

(安藤 明夫)




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