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ニャンと街“公認”の野良猫 地域猫

[ 2001/08/23 読売新聞 ]


■不妊手術し住民が世話 増加抑え共生へ 自治体も支援の動き

 飼い主のいない猫を「地域猫」と呼び、住民が協力して世話をする取り組みが広がっている。野良猫の増加を食い止め、住民同士の連携も高まるといった波及効果が期待されており、東京都が今年度からモデル地域を指定して支援するなど、自治体も地域猫に注目し始めている。

 東京都・新宿区の住宅街にある空き地の一角で、午後5時過ぎ、近くの主婦がえさの入った小皿を2枚置いた。耳にピアスを付けた猫2匹が現れて食べ始めた。「猫達はこの時間を待っているみたい」

 地元の主婦らが12匹の地域猫を世話しているこの地域は、東京都のモデル地域第一号。すべての猫に不妊去勢の手術が施され、耳のピアスはその証明だ。都には活動内容を地域の人に理解してもらうためのチラシ作りなどで援助を受けている。

 活動が始まったのは昨年から。空き地に住みついた野良猫に近所の人がえさをやっていたところ、数が増え、苦情が寄せられるようになり、地域猫の手法で育てることになったという。「猫の世話を通して、あまり知らなかった住民とも会話を交わすようになりました」と、活動メンバーの1人、主婦の飯塚早苗さん(43)は話す。

 地域猫は、苦情も多い野良猫の数を増やさないために、地域ぐるみで育てようという取り組みだ。「エサ場やトイレを設け、掃除をする」「猫に不妊去勢手術をする」といったルールを定め、「街と猫との共生」を図る。野良猫を巡って、猫好きと猫嫌いとが対立するケースも多い地域の紛争解決の有効な手立てになるとして、動物愛護団体の協力もあって、ここ数年、各地で広がりを見せている。

 しかし、地域猫を育てる取り組みは、猫の好きな住民や動物愛護団体などによる自主的な活動として続けられており、地域の理解を得るのに苦労している面もある。

 NPO法人(特定非営利活動法人)「ねこだすけ」(東京)の工藤久美子代表は「野良猫の数をコントロールしようというのが、地域猫の考え方。地域全体で取り組むことが必要で、行政のバックアップは大事」と話す。

 今回、都が支援を始めたのは、野良猫対策として、地域猫の試みが有効と判断したためだ。具体的には、地域猫の活動のPRに協力したり、不妊去勢手術の資金が集まらない場合は、年間10匹を上限に、都動物保護相談センターで無料で手術を行う。今年度中に、新たに2か所をモデル地域に加える予定で、今後3年間に約10か所を指定する計画を立てている。

 地域猫への自治体の支援は、2年前、横浜市磯子区が取り組んだのが最初。東京は2か所目で、まだまだ始まったばかりと言えるが、他の自治体からの問い合わせもあるという。日本動物福祉協会(同)の山口千津子調査員は「今後、行政の支援が活発になることを期待したい」と話している。




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